M5 完成度パーフェクト 日常とサーキット両立
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
最初に結果を言ってしまおう。ボクのいまの基準において、「M5」の完成度はパーフェクトに限りなく近い。07年に登場したM3が目指した乗り味や動きはこれだったんだ、そう思わずにはいられないものだ。
一方で、最近のハイパフォーマンスカーに起きていることが、例外無く「M5」にも当てはまる。進化するに従い、刺激が少なく、面白みに欠けるという意見が歴代オーナーを中心に出ているのだ。でもこうした流れは、ポルシェ911のタイプ991や、フェラーリ458にだって当てはまる。
理由のひとつは厳しくなった騒音規制だ。ハイパフォーマンスカーが最も手軽に高揚感を生み出せた排気音は、今や深夜の住宅街でもなければ気を使う必要が無いほど控えめになった。
もちろん、スペック的にも実際の加速力でも、エンジンはより強力になり、さらなる速さを生み出してはいる。しかしこの観点ですら、メーカーの社会的責任のもと、ハイスピード領域での安全性の確保を狙ったシャシー性能の向上が、パワートレーンの進化を上回っているから、ドライビングの刺激が減っていると言っていい。
簡単に言ってしまえば、100km/hなら安定して走るクルマと、200km/hでも安定して走るクルマを、同じ100km/h前後で走らせたとき、前者の方が刺激的で高揚感や楽しさがあり、さらにはスポーティに感じられるのと同じだ。
だが、先代よりも性能を落としたモデルチェンジなど、よほど大胆な低価格路線化などの戦略でも無い限りあり得ないし、性能で売るハイパフォーマンスカーではなおさらだ。某メーカーの言葉を借りれば「最新こそ最良」なのは当然で、新型がつまらないというのは“限られた部分”だけを見た意見ということになる。
なんでこんな話になるのかというと、今回の「M5」試乗を通して、「M」モデルに様々な可能性を感じているからだ。
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